オピネル(OPINEL)はアウトドアナイフの定番として人気があり、 多くのキャンパーが愛用しているフランス製の折りたたみ式ナイフです。
その歴史は120年以上でサイズも豊富に取り揃えられていることから、初めてのアウトドアナイフとしてオピネルを購入される方も多いと思います。
オピネルは多くのサイズが販売されているけど、今回はNo.8 No.9 No.10の各サイズを、できる限り安全に分解する手順と注意点を画像と一緒にまとめてみました。
オピネルの分解に役立つ道具
オピネルナイフに限らず分解や改造などで危険を少しでも減らすためには、安全に作業するための道具を準備することも大切になってきます。
- ハンマー、ピンポンチを叩くために使用します。
- ピンポンチ、ピンを抜くために使用します。
- スナップリングプライヤー、ビロブロック(安全ロック金具)を安全に取り外すために使用します。
- ヤスリ、ピンポンチでピンを叩いても固くて動かない場合に、出っ張り(フランジ側とは逆)部分を削るために使用します。
- ラジオペンチ、抜き取ったピンの先端部分などを削る場合に、ピンを挟むために使用します。
- ノギス、抜き取ったピンの太さを測って、削る箇所を確かめるために使用します。
ピン抜き台が便利!
あと角材にオピネルの径に合わせた穴をあけ、半割にしてペーパーで角を落とし滑らかにしてピンを抜くときの台として利用しています。
オピネルを分解するときの危険や失敗を減らすことができ分解作業も楽になるので、可能であればこのような道具を使用して分解作業することをオススメします。
このピン抜き台はwinpy-jijiiさんの動画を参考にさせていただきました。
オピネルの分解方法!
ここからは実際に先ほど紹介した道具を使って、オピネルナイフのNo.8 No.9 No.10をできる限り安全に分解する方法を順番に紹介していきます。
分解するNo.8 No.10はステンレスブレード、No.9はカーボンブレードになります。
さっそく分解を始めていきたいけど、実際に分解してみると道具を使っても大変なところも多くて、やり方によっては元に戻せない可能性もあります。
なぜ分解するの?
ブレードの取り出しが固くて、それを解消するために分解してブレードとハンドルの隙間をヤスリで削ったり、上の画像のように止め金具で締め付けているハンドル部分を細く削ったりして、ブレードを取り出しやすく調整することが目的なんだけど…
水分を含んで膨張した状態のハンドルの隙間などを、ヤスリで削ったりして調整しても時間がたつと緩くなるんじゃないかな?
水分などによる木材の膨張が原因なら、分解する前にオピネルのハンドルをよく乾燥させて様子を見たほうがいいと思う。
乾燥させてもブレードが開閉しづらいとき、またそれ以外の原因があるときにはじめて分解したほうがいいと思います。
また、分解してオピネルのハンドルを乾性油を使ってオイル漬け(油漬け)にして防水対策をする方法が紹介されてるけど…木材(ハンドル)が油を吸収して膨張しないのかな?
っと思ったのでGONTAは試していません。
分解手順1:ビロブロックを取り外す
オピネルナイフの豊富なサイズの中でも1番人気のステンレス No.8から分解していきます。
まずはじめに、不意に刃が出たり閉じることを防止してくれるビロブロック(安全ロック)から取り外していきます。
スナップリングプライヤーの特徴はハンドルを握ると先端が開く仕組みになっているから、画像のように簡単にビロブロックを取り外すことができます。
ビロブロックの取り外しでは、ロックをかけた状態で、収納状態のブレードをペンチやプライヤーなどで力任せに引き出し取り外す方法もあるけど…絶対にオススメしません!
ビロブロックが勢いで飛ばないようにテープで固定しても、無理に取り外すので変形する可能性もあるし、刃(ブレード)をペンチなどで直接挟むとキズがつく可能性もあります。
安全のためビロブロックの取り外しには、jijiiさんのように専用工具を作ったり、自作が無理ならスナップリングプライヤーなどの工具を使うことをオススメします。
分解手順2:最大の難関ピンを抜く
オピネルナイフの分解では、最も注意が必要で最大の難関となるピン抜き作業に入っていきますよ!
上の画像はハンドルにロゴマークがある側のピンの頭はフランジ形状になっているのがわかります。
下の画像はロゴマークの反対側のピンの状態、こちら側からロゴマークがあるピンの頭側へ抜いていきます。
見たところピンはストレートに見えるのでピンポンチなどで叩けば簡単に抜けそうだけど…
ピンを少しでも簡単に抜くにはピンポンチが便利!No.8のピン抜きには2mmのピンポンチを使用しました。
ピンポンチをハンマーで叩いてやると、案外簡単にピンが抜けていくではありませんか…しかしピンが半分ぐらい抜けたところで突然止まってしまいました。
どうやらブレードの部分で止まっているようなので、少しきつめにハンマーで叩いてやると見事にピンが抜けたけど、ちょっと曲がっています。
ピンの頭の首元から中心辺りの径が約2.62mm
抜いたピンをノギスで測ってみると、ピンは先端がテーパー状に広がっていることがわかりました。
分解手順3:ピンが抜けないときには?
No.8のピン抜きでは途中固いところはあったけど、思っていたより簡単に抜けたので、この調子でオピネルカーボンNo.9のピン抜きをスタート!
No.9のピン抜きもNo.8と同じように2mmのピンポンチで叩いてみたけどビクともしない…
あまり無理に叩いてもいけないので、ピンの出っ張り部分をヤスリで削ることにしました。
No.8のピン抜きで先端が太くなっていることはわかっていたので、ピンが抜けないときにはブレードの穴を通過するピンの太い部分が少しでも短くなるようにピンの出っ張り部分を削ることが有効だと思います。
このとき間違ってピンの頭(ロゴマーク側)を削らないように注意してください!
この理由については、ピンの頭(ロゴマーク側)を削らない理由!で説明しています。
なるべく止め金具を傷つけないように少しづつ削っていきます。
最終的に止め金具の表面と同じぐらいまで削って再度ピン抜き開始!
しかし…なぜかビクともしない?
正直カーボンNo.9のピン抜きはかなり苦戦したけど、ピンが少しでも動くとあとは簡単に抜くことができました。
カーボンNo.9のピンとブレードの穴径を測定すると、多少の誤差はあるけどステンレスNo.8と同サイズのピンが使われていることがわかりました。
カーボンNo.9のピン先端の径が約2.83mm、ステンレスNo.8の2.8mmと比べて0.03mm大きいけど、これだけピンが抜けにくかった原因とは思えない。
削る前と比べてスムーズにピンを抜くことができました。
No.10も同じようにノギスでピンの太さを測ってみると、やはりピンポンチで叩いた側の先端はピンの中間よりも太くなっていることがわかりました。
サイズによる違いはあるかもしれないけど、各サイズともブレードの穴径よりピンの先端のほうが太かったので、いかに無理をしてピンを抜いているかわかると思います。
各サイズともピンの頭の首元の径は中間の径と同じなので、ピンの頭をヤスリで削って、今回のピン抜きとは逆方向に抜いてやれば簡単に抜くことができると思うけど、オススメはできません!
画像でもわかるようにピンの頭部分は、ブレードをロックするためのビロブロックが外れずにスムーズに動くように作られています。
実際には試していないので確かなことはわかりませんが、もしフランジ側の頭を削ってピンを抜いた場合には、自作でピンを作る必要が出てくると思います。
今回の分解でもNo.9とNo.10はピンの頭とは逆の出っ張りを削っているので、ブレードのロックなど影響があると思ったけど、組立後の確認では問題ありませんでした。
分解手順4:ブレードと止め金具を取り外す
オピネルの分解で1番の難関になるピン抜きの作業も無事に済んだので、あとは止め金具とブレードを取り外せば分解は終了です。
止め金具が付いたままではブレードが締め付けられた状態になっているので、先に止め金具を取り外すことでブレードにかかっていた締め付けがなくなり、ブレードを簡単に取り外すことができる場合もあります。
分解後の組み立て
分解後の組み立てについてはそれほど難しいことはないけど、各サイズともブレードの穴径よりピンの先端が太いので、ヤスリなどで先端を削って組み立てのときブレードの穴に通りやすくしました。
あまり削りすぎて緩くなるといけないので、ブレードの穴と合わせながら調整してください。
組立にもピン抜きで使ったピンポンチがあると、ブレードと止め金具の穴の位置調整が簡単にできるので、楽にピンを差し込むことができました。
まとめ
オピネルナイフを分解して思ったこと!
オピネルNo.8 No.9 No.10の分解ではピン抜き作業が一番大変だったけど、取り出したピンのサイズを測ることでその特徴がよくわかり、ひとつ思ったことがあります。
ピンのサイズや形状を見てわかったけど、そもそもオピネルは分解できるように作られていないってことです。
今回はオピネルナイフを安全に分解することが目的で、各サイズのオピネルのブレードは開閉もスムーズで問題ないので、元の状態に組み上げて作業終了とします!